カスタマーハラスメント研修を実施しました。最近ではクレーム対応と言うよりもカスタマーハラスメントの研修を担当する機会が増えてきました。対応自体はクレーム対応と変わりはありませんが、クレームとカスハラでは意味が相違します。
クレームは顧客の要望や苦情など正当な顧客からの主張に企業側が対応を求められることが大半ですが、カスハラは顧客からのクレームから従業員を守るためや、顧客からのクレームによる職場の環境を悪化を軽減し、労働環境を整えることを中心としたことを指しています。
ところが、具体的にカスタマーハラスメントとした法律は存在しません。但し、顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるものを「カスタママーハラスメント」と定義しています。カスタマーハラスメントを禁止する法律は存在しませんが、カスタマーハラスメントの被害から労働者を守るための義務を会社(事業者)は負っています。
会社や事業者には労働契約法上、従業員への安全配慮義務を負っています。すなわち会社(事業者)は従業員に対し、生命・身体などの安全を確保しつつ労働できるように必要な配慮をする義務を負っています(労働契約法5条)。これを「安全配慮義務」といいます。
カスハラをする顧客が現れた際には、会社は安全配慮義務に基づき、従業員をカスハラから守らなければなりません。カスハラ対策を怠った結果、従業員が精神的ダメージを負った場合には、会社は従業員から損害賠償を請求されるおそれがあるので要注意です。
また、労働施策総合推進法上にはカスハラ対応に必要な体制を整備する義務、会社(事業者)は、職場におけるパワハラを防止するため、雇用管理上必要な措置を講じる義務を負っています(労働施策総合推進法30条の2第1項)。これに基づき、厚生労働省は、事業主が講ずべきパワハラ防止措置の適切かつ有効な実施を図るための指針を公表しています(同条3項)。同指針はパワハラ対策を主とした指針ではありますが、その中で、一部カスハラに言及している箇所があります。具体的には、カスハラを「顧客等からの著しい迷惑行為」と定義し、カスハラにより労働者の就業環境が害されることのないように、会社が行うことが望ましい取り組みとして以下が例示されています。
①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
・相談先をあらかじめ定め、労働者に周知する
・相談を受けた者が、相談内容や状況に応じて適切に対応できるようにする
②被害者への配慮のための取り組み
・被害者のメンタルヘルス不調への相談対応
・著しい迷惑行為を行った者に、従業員一人で対応させない
研修ではカスハラの正しい知識に加えて、カスハラ時の応対手順、手法、スキルを学び、実践で役立てる内容で開催しています。
研修の問合せは弊社HPもしは電話にて
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