ある市の職員向けに「コンプライアンス研修」を実施いたしました。公務員の方は民間会社と少し違い、接待や利害関係者との関わり方、付き合い方に禁止事項などの規程が存在しています。なぜなら公務員の倫理原則には「国民の奉仕者であり、国民の一部の者に対してのみの奉仕者ではない」との定義されているため、接待を受けるなどの行為は細かく規定によって明記されているからです。
ですが、ルールを遵守することばかりを考えて行動すると本来の規定より厳しく判断することで「どこまでが良くて、どこが悪いのか、どういう理由なのか」など、理解せずに結論の答えだけを覚えていることが見受けられます。
例えば「自身の市役所の利害関係者先(取引会社)に伺った際、お茶を出されました。」あなたならどうのような行動を取りますか?の問いかけに対して、「飲んでも違反にならない」「飲んだら倫理規定違反になる」などの答えが分かれます。民間会社ならせっかくご厚意で出されたお茶を手もつけずに帰ることは相手に失礼です、ちゃんと頂きましょうと教えます。ですが公務員の方はの倫理規程が存在し、そのベースは「国家公務員倫理法」になっています。
答えは「民間であっても公務員あってもお茶を頂くことが倫理違反にはあたらない」これは日本の慣習であり、ごく普通のことだからです。
先程の問いかけの問題点は、正しく一人ひとりが、なぜ良いのか、なぜ悪いのかを理解しないで、過去に上司から指摘や指導を受けたなどの回答がほとんどです。ということは同じ市役所の中でも、上司によって答えが相違しているといった別の問題も発生しているのです。
研修ではそのようなケースを複数用意して、一人ひとりが事の本質を理解するためにクイズ形式で楽しく学べるように工夫しながら、答えだけを理解するのではなく、「なぜ」を考えさせる研修を実施しています。